2012年4月22日日曜日

在外公館派遣員制度とは?

はじめまして。

私は現在某国大使館にて在外公館派遣員として勤務しています。私のように大した学歴や経験も無い人物がいかにして海外で働く機会を得たのか、このブログで説明していきたいと思います。

日本政府は平成24年1月現在で205の在外公館を世界中に設置しています。それぞれ役割によって大使館や総領事館と呼ばれ、外交交渉や邦人保護など外交活動の最前線としての役割を担うことが期待されています。

在外公館の中では様々な立場の人が働いています。中核的にいるは、外務省に所属する外交官です。彼らは外国政府との交渉や情報収集、またトラブルに巻き込まれた日本人の援護を任務としています。日本の外交官はG8のなかではかなり少なく慢性的な人員不足の中での在外公館運営を強いられているのですが、何人配置するかは法律で定めらていますから簡単に増員することはできません。そこでさほど外交官でなくてもできる業務を現地職員そして我ら在外公館派遣員が引き受けることにより、外交官が重要な業務に専念できる体制を敷いています。

在外公館派遣員は、外務省の外郭団体である社団法人国際交流サービス協会の契約社員として採用され、世界各地に派遣されます。派遣員になるための条件は協会のページに記されていますが、日本国籍を持っていることと高卒以上であることなど非常にハードルの低いものとなっています。したがって毎年二回行われる採用試験で高得点を取ることが重要になります。

二次試験を突破してしばらくすると「あなたは○○大使館から内定が出ていますがよろしいですか?」と電話連絡があります。ここで受諾すれば内定書が交付され、後日行われる研修に参加します。研修を終えると一旦自宅に戻り、そこから猛スピードで海外転居の準備を進めていくことになります。

海外で働くという得難い経験ができるこの在外公館派遣員制度ですが、あまり知られていないこともあり、東京外国語大学・大阪外国語大学・神田外国語大学など外国語大学の関係者が先輩・後輩間で情報をやりとりして受験・合格といったケースが多いようです。もっと正確な情報を大勢の人が入手できるようになれば優秀な人材が派遣員になってくれるのではないかと期待しています。このブログが受験を考えている人の役に立てば幸いです。

尚、派遣員は機密情報を扱う場所で勤務する場合もあるため、業務上知り得た内容には厳しい守秘義務が課せられています。当ブログではそのような内容に関わることは一切お答えいたしかねます。